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libbyy

紛れもない

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紛れもない

誰しも読んでいることだろう。着陸して数時間後に、わたしたちはそこで見いだした悲劇について、さしさわりのない報告をして、前日か一昨夜のすさまじい風によってレイクの一行が全滅したと、やむなく伝えた。死者は十一名におよぶことが判明し、若いゲドニーは行方不明だった。人びとはこの悲しい出来事がわたしたちにおよぼしたショックを察して、曖昧《あいまい》漠然とした報告にも文句をいわず、わたしたちがすさまじい風のために遺体のすべてがとてももちかえれない状態になっていると伝えたときも、その言葉を信じてくれた。事実わたしは、この悲痛、まったくの当惑、心がむしばまれるような恐怖のさなかにあっても、わたしたちがいっさい真相をもらさなかったのはよかったと、ひそかに思っているほどだ。途方もない意味は、わたしたちがあえて明らかにしなかったものに存在する。名状しがたい恐怖に近づこうとする者たちに警告を発する必要がなければ、いまなお明らかにする気にはなれないものに。
 風がすさまじい破壊をなしていたというのは、事実だ。別のことがなかったにせよ、全員が強風にもちこたえたかどうかは、大いに疑わしい。氷片を狂おしく吹きつける嵐は、わたしたち探検隊が遭遇したこともないような激しいものだったにちがいなかった。すべてがあまりにもやわで不適切な状態のままのこされているようだったが、飛行機の格納庫の一つはほとんど倒壊しており、遠くのボーリング現場にあるデリック起重機は粉ごなになっていた。飛行機とドリルの金属がむきだしになった部分は、極度に磨かれたようにへこんでしまい、小さなテントの二つは、雪で土手がつくられていたにもかかわらず、押しつぶされていた。突風にさらされた材木の表面は、おびただしく孔が開き、塗料がはぎとられていたし、雪にのこっていた跡もすべてかき消されていた。始生代の生物標本の一つとして、満足な形でもちかえれる状態になかったことも事実だ。わたしたちは散乱しているもののなかから、いくつかの鉱物を集めたが、そのなかには、角の丸い奇妙な五芒星形と一群の孔のかすかな模様から、数多くのおぼつかない比較をおこなわせることになった、緑がかった石鹸[#「鹵+僉」1-94-74]石や、奇妙に損傷した標本の典型をなすものもふくめ、化石化した骨もあった。
 犬も一頭として生きのこっておらず、キャンプ近くに急遽《きゅうきょ》つくられた囲いも、ほぼ完全に破壊されていた。風によるものかもしれなかったが、風の直撃をうけないキャンプ側の被害が大きいのは、犬たちがやっきになって飛びだそうとしたり、こわそうとしたりしたことをほのめかしていた。橇《そり》は三台ともなくなっていて、わたしたちは風がどことも知れない場所に吹き飛ばしたのだろうと解釈しようとした。ボーリング現場のドリルと解氷装置は、もう利用できないほどのひどい損傷をうけていたので、レイクが爆破によって開けた、どことなく心騒がせられる過去への門口をふさぐために利用した避孕 藥。同様に損傷の激しい二機の飛行機もキャンプにのこすことにした。わたしたち生きのこった者のなかに、操縦ができる者は四人――シャーマン、ダンフォース、マクタイ、ロペス――しかいないうえ、ダンフォースはとても操縦できる精神状態ではなかったからだ。多くのものが不可解にも吹き飛ばされてしまっていたが、わたしたちは見つけられるかぎりの書物、科学機器、そのほか雑
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